2016年12月21日水曜日

ビデオ・アシスタント・レフェリーについて-part2

 クラブ・ワールドカップ2016の決勝戦、鹿島アントラーズの健闘が光る試合でしたね。特に先制を許した後もゲームプランを崩さず、相手のストロングポイントを消して粘り強く戦う姿は勝つことを意識したプレーだったと思います。まぁ、(アジアチャンピオンでない)開催国枠で出場していた鹿島が勝っていたら、クラブ・ワールドカップそのものの存在が危なくなっていたかもしれませんが(南米チャンピオンとヨーロッパチャンピオンが直接戦う昔のトヨタカップみたいなものをまた提案してきたかも)。
 それはさておき、ゲーム後も衆目を集めたのがセルヒオ・ラモスへの判定。ラグビーを例に出してばかりで申し訳ないですが、ラグビーも初めからTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)をフル活用していたわけでありません。その活用は段階的に強化してきました。現在ではトライかどうかの可否だけでなく、反則の有無、反則があった場合にはそのペナルティの程度までTMOが判断可能になってます。
 サッカーのビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)は導入されたばかりであり、一気にここまで求めるのは無理なのはわかります。しかもFIFA会長の独断でです。しかし、これまでも試合後に敗戦の原因をレフリングに押し付けるコメントが多々あったことを考えれば、判定の正確さを追求することが間違いであるとは言えないはず。しかも、衆人環視の下で判定が再考されるとなれば、審判のスキル向上も期待出来るでしょう(WEBで、誰がどこに書いていたかは忘れてしまいましたが、VARが本格導入されればマラドーナの神の手は生まれまかったといった記事を見るとマラドーナの偉大さをあのプレーでしか語れないのか呆れてしまいます…)。さらにもう一つ、プロスポーツの中でこれほど八百長問題に晒されているスポーツも珍しいですが、審判の買収というピースはこれで解消出来ると思います
 そして、この問題で必ず指摘される点に「流れを止める」ということがあります。しかし、現在のサッカーでも有りもしなかったファールをアピールして、グラウンドに倒れて起き上がらず試合を止めていることは何度もあります。これを問題視しないでVARだけが試合の流れを止めるというのはどうでしょう? このシミュレーションをVARで厳しく監視しカードを出すことで結果、サッカー本来の流れをキープ出来るようになるのではないでしょうか。もちろん、VARが流れを妨げないとは言いません。バレーボールでは試合の流れを変えるために選手交代やタイムアウトを取りますが、最終盤になって既にどちらもベンチワークとして取ることが出来なくなっている時に、誰が見てもチャレンジする必要のないようなプレーに対して間を取るためだけにチャレンジをする監督がいました。この場合などは明らかにビデオ判定という余分な時間を使って流れを変えるようとする行為でしょう。それでも正確な判定のために必要なトレードオフだと考えますし、流れが止まるのは変化ではなく進化だと私は思っています。
 クラブ・ワールドカップ2016の3位決定戦、決勝戦をテレビの前で観ていて、審判が自分(たち)の威厳のためにVARを頑なに拒んでいるように見えました。

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